バラバラだったデータを分析用データに整理。キャンペーンの効果が一目でわかって効果測定が素早く簡単に! 〜クリーク・アンド・リバー社 ライツ・マネジメント・グループ 電子書籍取次部門 データ可視化プロジェクト

昨今、データ活用やDXの推進が急務となっています。

しかし、多くの企業においてスムーズに推進できていないのが現実です。株式会社クリーク・アンド・リバー社のデジタル・マーケティング・グループ以下DMGでは、データ活用やDXにおける課題をお持ちのお客様に、さまざまな提案やサポートを行っています。今回は、データ可視化の領域で社内でのコラボレーションが実現した事例をご紹介します。ライツ・マネジメント・グループ、電子書籍取次部門の川北武史さんに、プロジェクトやサポートの満足度などについて伺いました。後半からはこのプロジェクトの営業担当であるDMGの酒井美里さんにも加わっていただきます。 

経験値から客観的なデータに基づいた提案を目指して

 

──電子書籍取次部門のお仕事内容を教えてください。 

川北:出版社からコンテンツを預かり、いろいろな電子書籍の書店に流通させることがメインの業務です。単に流通させるだけでなく、売上を上げるための販促提案を、出版社、電子書店、双方に行っています。 

電子書店は非常に数が多く、その全ての書店と交渉をするのは、規模の大きな出版社でなければ、なかなか難しい状況です。そこで私たち電子書籍取次部門が、各書店と交渉し、販促企画を立てて、流通から売上アップまで一貫してサポートをしています。 

私たちのサービスでは特に、お客様である各出版社に寄り添い、密にコミュニケーションをとることを大切にしています。お客様には小規模の出版社も数多くいらっしゃいますが、お客様それぞれに合った販促企画を提案し、好評をいただいています

 

──そのように好評ななかでも、課題があったのですね。

川北:私たちの部門では、各営業担当が、出版社を何社か担当して業務を進めています。それぞれの営業が、感覚値と経験値を積み重ねて、プロモーション提案をしてきました。「キャンペーン期間中は売上が上がったから、またやってみよう」「以前、こんな企画が成功したからやってみよう」といった具合です。各営業が入力したデータはありますが、その活用がほとんどできていない状態でした。 

 客観的なデータを蓄積して可視化して、分析できるようにして、より効果的なキャンペーン施策やプロモーション企画を立てたいという希望はありましたが、新しいプロジェクトに取り組む余裕をなかなか持てないでいました。そんななか、私たちのライツ・マネジメント・グループとデジタル・マーケティング・グループ(DMGの担当役員が同じという縁があり、プロジェクトがスタートしました。 2020年の10月半ばにプロジェクトがスタートして、ローンチできたのが2021年の2月末でした。 

 

──ローンチして半年以上が経過しましたね。どのようなことができるようになって、どんな効果がありましたか。

川北:まだまだ、やりたいことが全てできているわけではないのですが、現在のところは、膨大な販売データを整理・統合し、ビジュアル分析に優れたTableauを使って売上推移の可視化をしています。特に、割引価格で販売するなどキャンペーンを行った期間とその前後の売上を比較してキャンペーンの効果を分析することが手早くできるようになり、お客様への説明や、新たな提案で役立っています。 

 

──以前は、キャンペーンの効果を検証するためにはどのようにしていたのですか。 

川北:たとえば、キャンペーン前・中・後のそれぞれ1週間を比較する場合なら、電子書店から、デイリーの全体レポートを取り出します。その中からキャンペーン対象のタイトルを抽出し、キャンペーン前の1週間分の売上を計算します。同じように、キャンペーン中と後の1週間の売上を計算し比較する。これをExcelを使って手作業でやっていたのです。導入後はタイトルのリストを入れれば、グラフで可視化されるようになりました。 

キャンペーンも1つではありませんから、多大な時間をかけて比較データを作成していたところ、かなりの効率化となっています。 

 

──それは業務効率が格段に上がりましたね。お客様からも喜ばれていますか。

川北:お客様には「Tableauを使いはじめました」と伝えてはいませんから、特に反響があるということはないのですが、「グラフが変わった」「いろいろ提案がある」という感想を持たれているお客様もいらっしゃるかもしれません。 

お客様からは、「レポートを急ぎで出して」とご依頼をいただくこともあるので、更新スピードにはこだわり、当初は1日1回の更新だったところ、各営業が入力したものを、1日に2回、自動でtableauに反映されるようにしました。お客様のリクエストに対し、素早い反応ができるようになっています。 

 

──営業一人ひとりの企画・提案に活かすだけでなく、部署全体の戦略にも役立っているのでしょうか。 

川北:はい。毎週全体ミーティングを開いていますので、キャンペーンの結果報告から、「横串でやってみよう」「複数の出版社に声をかけて合同企画をやろう」など、可視化できたことで、部署全体の施策も増えてきています。 

これまでは、営業が個人で経験を積み重ねていたところ、Tableauによって知見の共有化が進みました。この点はとても大きいですね。担当以外の出版社の売れ筋もわかりますし、メンバー同士の議論も活発になってきています。 

密な話し合いにより、データ整理とヒアリングの課題を解決

 

──非常に大きな効果を挙げているデータ可視化プロジェクトですが、導入にあたってはスムーズに進んだのですか。 

川北:はじめは難しかったですね。なかなか前に進んでいかなくて、もどかしい思いもしました。 

 

──このプロジェクトの営業担当の酒井さんにも加わっていただきましょう。何が難しかったのですか。 

酒井:まず、お持ちのデータが、バラバラだったことがあります。データによってフォーマットが異なったり、営業さん毎に入力方法が違っていたりもしました。分析に活用するためのデータになってなかったところを、使えるデータに整理するのが大変でした。 

 

川北:データの持ち方に加えて、私たちもシステムに関しては素人なので、要望をうまく伝えきれないところがあり、要件定義から難しさがありました。 

説明する女性

 

──課題が山積みだったのですね。どのように解決していったのですか。 

酒井:お互いにイメージを共有できないままに要件定義を進めてしまったような状況でしたが、ヒアリング時点で技術的なアドバイスを即座にできないことが問題でした。データの持ち方がバラバラの状況では、まずその整理をしなくてはいけないのに、そこを曖昧にして進めてしまったということもあります。 

その反省に立って、開発側のフロントに経験豊かな人材を配置し、要望をうかがった上で、「それをやりたいのであれば、こういうデータをこういう形で入力されていないと難しいですよ」といったアドバイスを素早くできるような体制を整えました。要望を伺いつつ、それを実現するためのデータの整理も進めていけるようになりました。 

 

川北:体制を整えていただいた後は、だいぶスムーズになりました。私たちにとってもお客様にとってもわかりやすい「可視化」をしたいと考えてのプロジェクトですから、どんなアウトプットになるのか、その見た目・イメージがないとわかりにくいのですが、モックをつくって見せていただいたので、こちらからも細かい要望を出して進めていけました。 

 

酒井:「Tableauのグラフからパワーポイントに切り出すにはこの幅の方が……」など、細かいデザイン調整もしましたね。 

 

今後は大規模DB化や多様なデータ活用による検証を 

 

──バラバラだったデータを、使えるデータにすることはできたのですか。 

 川北:全てを一挙に解決とは、さすがにいきませんよ。実は今、もっと大規模なデータベース化を考えていて、DMGと相談を進めているのですが、最初のプロジェクトではまず、できる範囲を決めて進めました。たとえば、同じタイトルでも電子書店ごとにコードが異なっていて、全てのコードを入れ込むのは難しいので、まずは売上の大きい3書店のみを可視化に使えるようにしています。 

 

酒井:フォーマットが違うデータをTableauに繋ぐために、判別するための共通のキーが必要になりますが、どの情報を持ってきて、そのキーをどこに置くのが最適なのか、できあがりイメージを細かく共有しながら、かなり密に話し合いました。 

 

川北:各電子書店からアウトプットできるデータは変えられないので、あるものでいかに効率的に使えるデータにするか、たくさん議論をしました。開発費の問題もありますからね。開発費の範囲内で最大限に効果を発揮できる方法を考えていただけたことは感謝しています。 

 

──今も新たなプロジェクトが進んでいるということですが、今後、どんなことをやっていきたいですか。 

川北:今はまだ限られたデータしか入れていない状態です。電子書店を3店舗からもっと増やし、ジャンルや発売日の情報など、売上以外にもいろいろな要素を絡めて、売上や市場の状況を可視化したいと考えています。 

電子書店からは、紙の本と電子の本は同時発売した方がよいといわれますが、出版社としては、電子が紙のパイを奪って在庫を抱えることは避けたいと考えます。もしも同時発売の方が全体として売上が上がることをデータで示せれば、お客様の役に立てますね。分析に使える情報が増えればそうした検証もできるようになります。 

また、割引率30%と50%では、どちらが総売上は上がるのか、など、適正な割引率がどこにあるのか検証するテストも行いたいですね。 

今後、可視化を進化させて、もっとお客様に貢献していきたいと思います。それで部署も拡大していったら素晴らしいですね。DMGの協力に期待しています。 

 

酒井:頑張ります。 

 

──DMGのデータ分析チームへの依頼を考えている方に、メッセージをお願いします。 

川北:今回のプロジェクトは、ふたを開けてみれば、データの持ち方や要件定義の進め方など、課題がたくさんあったのですが、DMGでは「データがこの状態では無理です」と終わらせず、どう整理したらよいかを一緒に考えて、実現に向けて力を尽くしてくれました。システムに明るくない人間にもわかるように説明とヒアリングを重ねてもらえて助かりました。課題を発見して柔軟に素早く対応し、ローンチまで持っていってくれる、パワーのあるチームです。様々な業務でのデータ活用、DXに役立てると思います。 

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